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“コラーゲンでお肌プルプル”はやっぱり迷信!? 尽きない外見改善への欲求 美容食品、包茎手術の集金力

“コラーゲンでお肌プルプル”はやっぱり迷信!? 尽きない外見改善への欲求 美容食品、包茎手術の集金力

2011年5月20日(金)配信の化粧品ニュース

 何度失敗談が出回ろうとも、その勢いが衰えることのない美容ビジネス。コラーゲンドリンクに始まる美容食品市場は順調に拡大し続け、包茎手術に始まったコンプレックス改善医療は相変わらずブームを生み続けている。なぜ人はそこまで外見に執着するのか。改めてその魔力を検証したい。

 女性に向けて、外見の美しさをサポートすることをうたった食品、いわゆる「美容食品」の売れ行きが好調だ。2011年2月に富士経済が発表した“健康・美容食品の市場規模”に関する調査結果によると、10年の同市場規模は1兆7807億円で、6年ぶりのプラス成長に転じると見込まれている。それを大きく牽引したのが“美肌効果”を訴求した食品で、中でもコラーゲンやヒアルロン酸などを配合したドリンク類は、前年比12・7%の大幅な増加が見込まれるという。

 確かにコンビニやドラッグストアに行くと、栄養ドリンクやゼリー飲料に混じり、そうした美容ドリンクも当たり前に見かけるようになった。価格帯は1本200〜400円前後で、栄養ドリンクとさほど変わらないものの、「それを購入する女性の心理がよくわからない」という男性読者も多いだろう。そのカラクリについて、数々の美容商品の開発に携わっているコスメティックプランナーの恩田雅世氏は、次のように語る。

「コンビニでヒアルロン酸配合の美容ドリンクを買ったり、鍋料理店でコラーゲンボール【編註:コラーゲンを球状に固めたもの】を注文する女性たちの多くは、『これかわいい』っていう女子的な“条件反射”が働いているんです。もちろん、効果を期待する気持ちはあると思いますが、“コラーゲン=肌に良い”という印象だけで、実効性について深く考えたりはしていないでしょう」

 そうした女性的感覚を刺激しようとしてか、美容ドリンクのボトルは、いかにも女性ウケしそうなデザインが多い。しかし、実際のところ、本当に効果はあるのだろうか?

「私は医師や科学者ではないので、はっきりとしたことは言えないのですが(高梨真教院長による解説参照)……例えばコラーゲンを経口摂取した場合、体内で吸収する時にはアミノ酸に分解されてしまいます。アミノ酸は身体のさまざまな機能調節に使われますから、必ずしも肌に作用するとは限らない。ただ、医薬品と違って効能があいまい……むしろ“どう効果を実感するかわからない”というグレーゾーンの代物であることこそが、コラーゲンが流行しているゆえんだと思います。スキンケアに割く時間や労力が費やせなくても、『コラーゲン摂ったから大丈夫』という気休めになりますから」(同)

 とはいえ、何も各企業が足並みを揃えて“気休め商品”を作る必要はないはず。“本当に美肌効果のある商品”よりも“気休め商品”が市場で先行しているのはなぜなのか?

「マーケティングの視点からいうと、美容商品というのは“事実を突き付けたところで売れるとは限らないもの”なんです。最近では、鮭や鯛に含まれるアスタキサンチンを配合したドリンクや、アミノ酸を顆粒にしたサプリメントなど、優秀な美肌効果が期待されている商品もたくさんありますが、“コラーゲン=美肌”というイメージがすっかり定着してしまったため、『アスタキサンチン配合』よりも『コラーゲン配合』のほうが絶対に売れる。どんなに性能が高くても、後発である限り、初めにブームを作ったものに勝つことは難しいんですよ」(同)

 そうした背景により、最近ではプラセンタ【編註:女性の胎盤から抽出される成長因子やほかの栄養素のこと】やビタミンCといった、科学的に効果が実証されている成分とコラーゲンを調合した“抱き合わせ商品”が増えているという。また、コラーゲンの分子サイズをナノ化、ピコ化と小さくして、体内での吸収率の良さをうたった商品も登場するなど、“コラーゲン頼み”の傾向は加速するばかり。それだけ女性の購買意欲を駆り立てる力があるのだろう。


■男性器の評価でその人の評価も決まる!?


 一方、男性の場合、近年は若者を中心に男性化粧品のニーズも広がっているものの、その市場規模はいまだに300億円程度といわれている。外資系企業を含めると、市場規模が2兆円を優に超える化粧品業界全体の中では、まだ極わずかにすぎない。

 そもそも男性という生き物は、外見を改善することに意欲がわきにくいのか? ……というと、決してそうとも言い切れない節がある。確かに男性化粧品市場の歴史はまだ浅いが、男性器のコンプレックス……特に「包茎」を改善するための医療ビジネスは、昭和の時代にはすでに確立されていたからだ。後出の高須克弥院長も「一番はやってた時は、赤坂のクリニックだけで、1日300人」と言うように、普段は人目に晒されないとはいえ、「包茎」という外見コンプレックスは、十分に悩みの種になっていたのである。こうした人の外見への執着について、心理カウンセラーのA氏はこう解説する。

「心理学では、周囲の人から受ける好意的な態度の大きさを“対人魅力”と呼びます。そして、その人の対人魅力を決定する要因のひとつに、見た目がいいかどうかという『身体的魅力』が挙げられるんです。つまり、見た目がその人の評価そのものに成りうるということ。「容姿が美しい」などの顕著な特徴により、全体的な評価も底上げされることを“ハロー効果”というのですが、それも関係しているのではないでしょうか」

“理想の自分”を手に入れるため、さらには周囲に評価されるため、人々は身銭を切って外見を改善しようとする。その散財の先に、費やした額に見合うだけの結果は待っているのだろうか。

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