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インドネシア 化粧品類市場拡大 男性向け含め日本勢も好調

インドネシア 化粧品類市場拡大 男性向け含め日本勢も好調

2011年5月5日(木)配信の化粧品ニュース

 国民1人当たりの国内総生産(GDP)が2010年に3000ドル(約24万3000円)を超えたインドネシアで、ヘアケアやスキンケアを含めたトイレタリー・化粧品市場の規模が拡大している。米系調査会社によると、10年の業界全体の売り上げの伸びは、前年比で13%超を記録。今後も年率2桁成長が続く見込みだ。

 ◆シェア圧倒マンダム

 インドネシアでは男性向けの「ギャツビー」ブランドを通じ、ヘアケアやフレグランス(香り化粧品)部門でトップシェアを誇るマンダム・インドネシア。昨年は、10代の若い女性をおもなターゲットにした香水などのブランド「ピュセル」が他社との競争激化で苦戦したが、男性ヘアスタイリング剤で78%と圧倒的なシェアを記録し、女性向け化粧品「ピクシー」などにも力を入れ、売り上げを伸ばしている。

 同社は1991年にジャカルタ証券取引所(現在のインドネシア証券取引所)に上場。国内向けだけでなく、輸出品の生産拠点になるなど、マンダムの世界売上高の4分の1ほどを占める。

 国内市場について、同社の日比武志社長は「経済成長によって、生活者が豊かになっており、どの所得層も全体的に底上げされている」と指摘する。

 同社はこれまで、国内市場のニーズに見合った商品開発や、1個3円ほどの個装化などの工夫を凝らし、街の隅々まで商品を行き渡らせ、中間層以下の人口比率が高いボリュームゾーンで強みを見せてきた。その一方、近年は所得水準が向上するにつれ、特に富裕層の男性向け市場も急拡大しており、各社が攻勢をかけている。

 「女性向けが9割、男性向けが1割という比率は日本でもインドネシアでも大きく違わないが、国が豊かになると、男性層の市場が広がってくる。この2年ほど、他社も高級メンズのスキンケア製品などをどんどん出し始め、非常に売れ行きが良い。われわれも、全体的にはインドネシアで作るのが基本だが、高所得者層に対しては日本から商品を持ってきて、これまでとはやや違う顔を持つ商品でアピールしていく戦略を立てている」と日比社長は語る。

 圧倒的な強さを誇る男性ヘアケア部門で、高所得層の一層の取り込みを図るほか、洗顔料や液体洗浄剤といった従来の商品だけでなく、クリームやローションなどの商品開発にも着手し、これから競争が一段と激しくなる男性用市場で盤石の体制を築く方針だ。

 今年に入り、日本の化粧石鹸(せっけん)で店頭販売シェアトップの牛乳石鹸共進社も、インドネシア進出を決めた。

 ◆牛乳石鹸も参入

 4月に地場の販売代理店と契約。牛脂とヤシ油の使用、大量生産ベースでは世界でも例のない釜焚(た)き製法といった生産技術に基づく商品の差別化を図り、富裕層をターゲットに事業を進める意向を示している。

 市場ニーズの把握に2年ほどかけ、将来の現地生産も視野に入れる。同社の海外事業の中心となる台湾の現地法人で総経理を務める宮崎喜之氏によると、第1段階として今年中ごろに販売を想定しているのは、乳幼児用ブランドの「キューピーベビーシリーズ」、ボディーソープや無添加シリーズなど。所得層で一番上の部分を狙い、付加価値の高い商品をメーンに据える方針だ。

 同社の海外販売は全売上高の1割ほど。本社の宮崎仁之社長は「われわれは数を売らなければならない商品を扱っている。これから人口が減っていく日本に比べて、人口が多く若い人の比率が高いインドネシアは有望な市場。日本のどの企業も同じような戦略を立てている中で、どのような商売を行っていくかが重要になる」と力を込めた。(インドネシア邦字紙「じゃかるた新聞」副編集長 上野太郎)

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