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生薬「甘草」 脱中国依存が加速 ツムラなど、人工栽培技術開発進む

生薬「甘草」 脱中国依存が加速 ツムラなど、人工栽培技術開発進む

2011年5月5日(木)配信の化粧品ニュース

 日本の漢方薬メーカーなどが、「甘草(かんぞう)」と呼ばれる生薬の人工栽培に相次いで乗り出している。

 生薬の乱獲が問題となっている中国では、採集規制や輸出制限により価格が高騰している。これに対し、日本側は入手が難しくなってきた生薬を“自給自足”することで、中国に依存するリスクを回避しようとしている。

 甘草は医薬品や化粧品の原料となる代表的な生薬で、主に中国北部に自生している。

 日本は大半を輸入に頼っているが、漢方薬メーカーがここ数年、頭を抱えているのが価格高騰だ。

 生薬の輸入・販売専門商社「栃本天海堂」(大阪市北区)によると、甘草の1キロ当たりの輸入価格は2002年の2ドル49セントから、10年は倍以上の5ドル27セントまで跳ね上がった。同社の姜東孝取締役は「資源の枯渇と環境保護のための採集規制が主因」と指摘、今後も価格上昇は避けられない見通しにある。

 こうした中、日本側でも安定調達に向けた動きが進んでいる。漢方薬大手のツムラは4月、甘草を中国で安定的に栽培する技術を確立したと発表。すでに中国当局に特許登録の手続きを完了した。

 甘草は同社の94の商品で使われる重要な生薬。岩沢強・生薬本部長は「最終的にはすべて人工栽培品を使っていく」とし、野生品の在庫を使い切る2年後をめどに、人工栽培品に全面的に切り替える考えだ。

 同社は01年から、中国の北京中医薬大などと甘草の栽培に関する共同研究を実施。種をまいて1年3カ月後に、6ヘクタールの土地から5.5トン(野生の場合は0.8トン程度)を収穫することに成功した。医薬品の原料としての規格「日本薬局方」を満たしているだけでなく、機械化により効率的な栽培も実現し、商用化にこぎつけた。

 このほか鹿島や三菱樹脂など異業種組を含め甘草の人工栽培の技術開発を進めている企業は多い。人工栽培品は野生品に比べコストがかかることがネックだが、効率的な栽培技術の登場などにより、生薬の安定確保と資源保護に向けた「脱中国」の動きが進みそうだ。(米沢文)

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